高齢化社会の進展とともに在宅介護の必要性が増加しています。訪問介護は在宅での生活を支え、利用者が自分らしい日常を維持できるようにサポートする重要な介護サービスのひとつです。

以下では、訪問介護の基本概要から具体的なサービス内容までを詳細に解説します。

訪問介護の必要性とは？

高齢化社会を歩む日本において、在宅介護に従事せざるを得ない家族の負担は増す一方です。老老介護が進んだ結果、悲しい事件が起きたというニュースも後を絶ちません。

在宅介護によっては「ヤングケアラー」さえ生まれてしまっており、日本においては直視すべき社会問題のひとつとなっています。そこで、在宅介護を支えるサービスが鍵を握っています。「訪問介護」の需要は高まり続けており、在宅介護を支えるサービスとして注目も高まっているのです。

訪問介護のサービス内容とは

訪問介護は在宅介護を支える重要なサービスとして知られています。では、具体的なサービス内容とはどのようなものでしょうか。

訪問介護は、高齢者や障がい者などが自宅で安心して生活できるよう、日常生活のサポートやケアを提供するサービスです。対象者は要介護・要支援の認定を受けた方となっており、誰でも自由に受けられるものではありません。

また、受けられるサービスの内容も認定内容に応じて異なり、柔軟かつ個別化された支援が行われます。

訪問介護で支える身体介護と生活援助とは

訪問介護にはさまざまなサービスがあります。基本のサービスの柱は「身体介護」と「生活援助」です。この章では在宅介護を支える2つのサービスについて、詳細を説明します。

身体介護サービスとは

訪問介護のサービスのひとつ、身体介護とは介護における基本的なサービスを意味します。入浴や排泄を介助したり、着替えの交換なども行ったりします。

身体に直接触れることから、慎重にサービスの提供を行う必要があります。身体介護は施設介護などでも行われており、介護にかかわる仕事で多くの方が従事するサービスです。

生活援助サービスとは

在宅で介護を必要としている方の多くが、日常生活に必要な家事を支えてほしいと考えています。掃除や部屋の整理整頓、布団のカバーの交換など、ささいな家事もままならない方は多いため、訪問するヘルパーが家事も担っています。

こうしたサービスを生活援助と呼び、在宅介護を支える大切なサービスとして重宝されています。

訪問介護がもたらす日常生活支援の大切さ

訪問介護は、日常生活のなかでさまざまな側面においてサポートを提供します。食事のサポートや栄養管理、入浴などの衛生面の援助、移動や外出時の手助けなどが含まれます。

これにより、利用者は自宅での生活を継続できるよう支えられます。在宅介護は家族の負担が大きく、自立した生活を家族全員が送りにくくなるという現状があります。

介護知識を持ったヘルパーが在宅介護に介入することで、家族全員のストレスが減るというメリットもあります。

医療的なケアにおける訪問介護の限界と可能性

訪問介護では、医療行為は提供できません。従事しているのはあくまでも介護分野のヘルパーであり、介護福祉士や実務者研修修了者といった介護のプロフェッショナルが提供できるサービスに留まります。

必要に応じて医療につなげることは可能でも、介護と医療には明確な線引きがあることを、従事者と利用者の双方が理解しておく必要があるのです。

可能性の拡大

医療的なケアに従事することは難しいですが、2011年にあった法律の改正後は研修を経ることで訪問介護のサービスの一部に医療行為が認められました。

しかし、医療行為といっても制約は大きいため注意が必要です。

喀痰吸引および経管栄養については行えます。しかし、制約はあるものの、一部のこうした行為が認められたことで、訪問介護のもたらす可能性は拡大したといえるでしょう。少しでもサービスが増えることは在宅介護に従事する方々のサポートにつながります。

限界があることの重要性

訪問介護を利用する方にとっては、医療行為の一部が認められたことは大きな前進です。しかし、インシュリンの注射などは制約されています。

医療行為はたとえ医療に従事する看護師であっても提供できるサービスは限られます。

訪問介護において、医療的なケアには限界があることで、人命に関するトラブルを防ぐという効果もあります。介護は非常にデリケートなサービスであり、介護を要する方の自立した生活を支援するためには欠かせないものですが、線引きがなければヘルパーの違法な行為につながりかねません。

提供できるサービスに限界があることは、命を守るという視点では重要なことでもあるのです。

訪問介護を実際に利用している方の声とは

訪問介護を実際に利用している方はどのような意見を持っているのでしょうか。この章では利用例を参考に、介護保険のあり方についても考察します。

独居を支える訪問介護

在宅介護の状態は家族との同居があると支えられる部分が大きいですが、独居の場合は大変な状態を経験しやすいものです。要介護度が重く、親族のサポートも受けられない場合には訪問介護を受けることが重要です。

実際に利用者のなかには多くの独居老人がいます。最初は1人暮らしに慣れていると介護に拒否感を感じる方も多いですが、ターミナルケアが必要な方も訪問介護で穏やかな終末期を過ごす方も多くなっています。

認知症夫婦を支える訪問介護

老老介護状態の在宅介護の現場は多く、夫婦ともに認知症が進行しているケースも決して少なくありません。認知症が進行すると衛生管理が難しくなり、部屋や身体が汚れてしまうこともあるのです。

実際の利用者にも認知症夫婦の方が見られることもあり、ホームドクターと連携しながら介護サービスを受けて自宅で暮らせる方も多くなっています。住み慣れた家で長く暮らせることは、要介護者側にとって心の平和を実感できるものです。

まとめ

この記事では、訪問介護が支える在宅介護について、実際の利用例などにも触れながら詳しく解説を行いました。訪問介護は需要が拡大している介護のワークですが、初心者でも従事できるサービスも多く、求人も活発になっています。

人を支える素敵なワークに就きたい、将来性のある仕事をしたいという方は、ぜひ関心を持ってみてください。