近年、高齢者人口の増加に伴い、介護の需要が急速に拡大しています。その中でも、訪問介護は在宅での生活を支え、要介護・要支援者の自立をサポートする重要なサービスとなっています。

本記事では、「なぜ訪問介護には生活援助サービスが欠かせないのか？」サービスの概要について迫ります。

訪問介護の需要が伸びている背景とは

訪問介護の需要が日本で伸びている背景には複数の要因が絡んでいます。

以下に、その主な理由をいくつか挙げていきます。

高齢者人口の増加

日本は高齢者人口が急速に増加している国の一つです。

高齢者は通常、身体的な介護や日常生活のサポートが必要となりやすいですが、日本は少子化も進行しており、家族内で介護を行うことが難しくなってきています。老老介護も急速に増加しているため、ホームヘルパーが訪問してケアを行う訪問介護が必要になっているのです。

在宅ケアの推進

全ての要介護者・要支援者が施設に入居できるわけではありません。現在多くの高齢者施設では、入居者待ちの状態が続いています。そこで、在宅ケアが積極的に推進されています。高齢者や障がい者にとって、住み慣れた家でホームヘルパーによる介護サービスを受けられることは安心にもつながります。

核家族化と単身世帯の増加

日本は1970年代以降、核家族化が進んでいきました。また、少子化が長年続いており、未婚率も常用していることから、単身世帯が増加傾向にあります。

親が高齢になった場合、子どもたちが介護に専念できない事例が増加しているほか、子どもがそもそもいない高齢者もいます。訪問介護は、救いの手を待つ単身者の生活を支えることにもつながっています。

公的な支援制度の整備

日本では公的な支援制度が整備され、訪問介護に対して介護保険サービスが提供されています。こうした公的制度が整備されたことにより、訪問介護への需要も増えているのです。

介護者が孤立しない政策が用意されたことで、本当に介護が必要な方が可視化されました。

訪問介護にはなぜ生活援助サービスが用意されているのか

訪問介護サービスには、介護の基本的なサービスである身体介護のほか、掃除やゴミ捨てなどの家事を担う生活援助サービスも実施されています。

要介護者の中には、外部の支援なしでは日常生活が難しい方も多くいます。居宅での生活が求められる一方で、身の回りの世話や生活全般のサポートが必要とされます。こうした課題に対応するために、生活援助サービスが不可欠となっているのです。

生活援助サービスの役割

生活援助サービスは、日常生活の支援を提供することを目的としています。これにはゴミ捨て、洗濯、掃除全般などの家事サポートが含まれます。これらのサービスは、要介護者が自宅でできるだけ自立した生活を送るために重要な役割を果たしています。事業所から派遣されるホームヘルパーが、身体介護と同様にサービスを提供しています。

・具体的な生活援助サービスの概要

居宅での生活を続けるためには、住環境の維持が欠かせません。生活援助サービスでは、掃除や洗濯などの家事サポートが行われ、要介護者が安心して生活できる環境を整えるサービスを提供しています。生活援助サービスは、一律で提供されているものではなく、個別のニーズに合わせて提供されています。

また、同居の家族がいる場合は、同居の家族の方向けにサービスは提供されません。あくまでも利用者の生活を整えるに留まります。

生活援助サービスのメリットとは

生活援助サービスの提供には数多くの効果とメリットがあります。

まず、身体的な健康維持が期待されます。介護事業所からプロフェッショナルが派遣されることにより、清潔な生活環境の維持が可能となり、健康リスクの軽減に寄与します。

また、精神的な安心感も提供され、要介護者やその家族の負担が軽減されます。

生活援助における課題もある

訪問介護事業では身体介護だけではなく、生活援助によるすぐれた介護サービスも行われており、利用者の多くは生活が助けられている現状があります。

一方で、人手不足やサービス提供の課題も存在します。生活援助も含めた訪問介護サービスの需要は拡大の一途ですが、人材が追い付いていない側面があります。拡大に対応するためには、介護職の育成や労働環境の改善が求められます。

今後、これらの課題に対する解決策を模索することが必要です。

訪問介護に従事する楽しさとは

訪問介護は生活援助や身体介護など、介護にまつわるサービスを提供する仕事です。現在人材が不足していますが、実は大変魅力的な仕事でもあります。

この章では訪問介護に従事する楽しさについて、詳しく解説します。

生活援助は馴染みやすい仕事

生活援助の仕事は、すでに触れたように家事を代行するような側面があります。

介護の仕事にはなじみがない初心者の方でも、生活援助は介入しやすい仕事であり、実際に多くの介護職の初心者の方が従事しています。利用者のご自宅を訪問し、生活を支える仕事は感謝の言葉をもらえることが多く、非常にやりがいのあるものです。

また、生活援助と身体介護をセットでマスターしていくことで、今後介護職としてスキルアップをしたいと考えている方にとっても、たくましい基礎知識として役立ちます。

生活援助は利用回数によって線引きがある

必要以上に生活援助を祖押して利用者の生活に入っていくと、家族の家事と混同しそうになる、と感じるかもしれません。

しかし、生活援助は介護保険内で提供されているサービスのため、利用回数に関してはきちんと上限が設けられています。ケアプランがあるため、ホームヘルパーの方もストレスを抱えにくいしくみが導入されており、安心です。

まとめ

訪問介護における生活援助サービスは、訪問介護において欠かせない重要なサービスです。

この記事では生活援助の魅力についても合わせて紹介しました。要介護・要支援者の自立した生活をホームヘルパーがサポートし、居宅での生活をより良いものにするために、柔軟性のあるサービス提供が行われています。

今後も社会的な課題に対応し、生活援助サービスの発展が期待されます。